2025年夏5月末、政府備蓄米が“随意契約米”として市場放出され、全国のスーパーやドラッグストアで販売され始めました。しかし、店頭に並び始めてから1か月以上経つ今、私たち庶民がその恩恵を実感できているでしょうか?

- 🧩 背景と課題
- 📉 価格への影響
- 📉 供給量が少なすぎる──戦略的「チビ出し」の疑念
- 🌍 地域による格差
- 🧯 有事対応の限界
- 💰 安いコメが買えなければ、安全保障ではない
- 🧭 いますぐ求められること
- 💬 おわりに:今、困っているのは農家ではなく、庶民だ
🧩 背景と課題
🏛️ 小泉農水相の主な対策
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入札時期の前倒し
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通常は9月に行われる主食用MA米の入札を、6月27日に前倒し。
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これにより、9月には輸入米が市場に出回る見込みです。
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中粒種の輸入増加
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日本人に馴染みのある短粒種に近い「中粒種」の割合を増やすことで、主食用としての活用を視野に入れています。
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加工用・業務用への用途拡大
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MA米の用途を、味噌・醤油・米菓などの加工食品向けに拡大。
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これにより、国産米との競合を避けつつ供給量を確保する狙いがあります。
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備蓄米の限界とMA米の補完
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- 政府備蓄米はすでに残り15万トン程度とされ、MA米の活用が不可欠な状況です。

📉 価格への影響
コメ全体の価格は数百円下がっているということですが、これは随意契約米がある程度店頭に並ぶようになったからで、これが平均価格を押し下げているにすぎません。
- 銘柄米や入札のブレンド米やカリフォルニア米の価格はほとんど下がっていません。
📉 供給量が少なすぎる──戦略的「チビ出し」の疑念
随意契約米は6月上旬からわずか1週間で店頭に姿を見せ始めましたが、その後の供給量は極端に限定的でした。 販売価格は5kgで1,980円前後と魅力的でありながら、販売時期や日時の告知が行われず、早朝から行列ができる店舗も少なくありません。
その背景には、
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8月末までに完売できる量に抑えている
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販売タイミングを分散させ、来店回数を増やすために、1回の販売数量を抑えている
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精米業者の処理能力がネックになっている
といった見方があります。 しかし仮にこれらが事実だとすれば、“有事に備えてきた備蓄制度”が平時ですら円滑に機能しないという致命的な問題が浮き彫りになります。
🌍 地域による格差

報道やSNS上の消費者の声からも、販売地域によって価格・時期に明確な差が生じていることが分かります。 その一因として、政府の備蓄倉庫の所在地に偏りがあることが挙げられます。
こうした格差が存在する以上、食料安全保障は“全国民平等”には機能していないと言わざるを得ません。
🧯 有事対応の限界
自然災害や戦争といった非常時においては、物流や電源インフラの途絶が想定されます。 そうした状況下で、
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精米工程が止まる
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店舗オペレーションが不可能になる
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誰が・どうやって備蓄米を供給するのか
といった点への具体的な運用訓練や代替ルート、現場マニュアルの整備が、政府からほとんど見えません。
💰 安いコメが買えなければ、安全保障ではない
「食料安全保障」とは、単なる備蓄量の話ではありません。 庶民が“日常的に買える価格で”主食を手にできることが、真の安全保障です。
しかし現状では、
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銘柄米は5kgで4,000円を超える高値安定
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備蓄米は安くても流通が極端に限定的
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安価な輸入米(MA米)の流通は9月以降
🧭 いますぐ求められること
当初約96万トンあった備蓄米は、 競争入札で31万トン、 随意契約で50万トン を放出すると、残存在庫はわずか約15万トンになります。
参院選の後は備蓄米も底をつき高いコメしかなくなるのは目に見えています。
いまは、非常時です。100%の自給率にこだわるときではありません。直ちに輸入を増やし、備蓄を積み増し、必要に応じて何時でも放出できる体制を整えることが重要です。
- MA米の主食用放出の前倒し(9月では遅い)
- 備蓄米の供給スピードと量の強化
- 精米や流通のボトルネックの洗い出しと対策
- 販売スケジュールの最低限の情報公開
- 地域間格差を埋めるための機動的な配送
💬 おわりに:今、困っているのは農家ではなく、庶民だ
小泉農水相の対策は画期的なものでした。 しかし、まだまだ不十分です。
コメ農家の半分は70歳以上だそうです。普通の庶民の年金生活者の多くは年金だけで生活しています。コメ農家の方は年金のほかに農業所得があります。コメ農家の4分の3は兼業農家で農業所得のほかに給与所得や不動産所得があります。
政府も与党も野党も、この暑さの中で、安いコメを求めて長蛇の列に並び、時には体調を崩す人まで出ている現実、「今、1番困っているのは誰なのか」という視点を、政策の中心に据えてほしいと強く思います。この状況下、庶民はこの夏をどう乗り切れというのでしょうか?